ボン教の歴史と教え
ボン教の始祖 トンパ・シェンラッブ
トンパ・シェンラッブが説いた二体系
第一の体系はボンの九乗と呼ばれる(注2)。ボンの九乗には三種類あり、それは南伝埋蔵経、北伝埋蔵経、中央埋蔵経だ(注3)。第二の体系は四門五蔵と呼ばれ、南伝埋蔵経に属す。
ボンの九乗(南伝埋蔵教)
1.予言のシェン乗(チャワ・シェーン・テクパ)
占い、占星術、儀礼、原因の吟味といった四種の予言について説かれる。
2.現象世界のシェン乗(ンガ・シェーン・テクパ)
この世に住む神々や悪魔の起源と性質、またお払いや供養について説かれる。
3.幻のシェン乗(トゥル・シェン・テクパ)
敵対する力に対抗する儀礼の説明。
4.存在のシェン乗(スィ・シェン・テクパ)
死後のバルドと、生きものを解放または良い転生へと導く方法について扱われる。
5.在家の乗(ギェニェン・テクパ)
十善と波羅蜜多により在家修行者を導く方法
6.僧乗(ダンソン・テクパ)
僧侶の戒律について説かれている。
7.白いア乗(アーカル・テクパ)
高度な密教の実践と儀礼
8.原初のシェン乗(イェシェン・テクパ)
密教修行には正しい師、場所、時期が必要なことを強調しながら、マンダラと本尊ヨーガの実践法が詳解されている。
9.究極の乗(ラメー・テクパ)
ゾクチェンによる究極の達成について。
(注2)
12明学(科学)という別の分類方法については、ナムカイ・ノルブ・リンポチェ箸『Drung, Deu and Bon』 (Library of Tibetan Works and Archives, India 1995)で詳しく考察されている。
(注3)
中央埋蔵経の分類は修学課程に合わせて以上のとおりになる。シャンシュン・マの系譜によれば、北伝埋蔵経の構成は次のようになる。
1.トートー乗 2.チィトー乗 3.ヤントー乗
4.ナンデン乗 5.ランデン乗 6.ジェデーン乗
7.ラツェー乗 8.ナンツェー乗 9.ヨンツェー乗
四門五蔵
1.白い水(チャブカル)
呪術や高度な密教実践
2.黒い水(チャブナク)
ヒーリング、浄化、魔術、前兆、占い、葬儀、身代わりなどの儀礼
3.ペン国(ペンユル)
僧、尼僧、俗人のための戒律と哲学的な教義が述べられている。
4.賢者(プンセー)
心と取り組む実践と、ゾクチェン
5.蔵(トートク)
四門のエッセンス
(シェンテンのHPより)